■バーンスタイン/ベートーヴェン:交響曲全集/序曲集 [Limited Edition]
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ブログでも何度か書いていますが、ベートーヴェンは私のヒーローです。そして、バーンスタインもまた私のヒーローなのです。この人の演奏でどれだけクラシック音楽が身近なものになったことか! 例えばショスタコーヴィチの第7番の交響曲。あの長くて重々しい曲を、きびきびと、面白く、飽きさせずに聴けるようになったのは彼のおかげですね。しかし、だからと言って、「ウエストサイド物語」の音楽を担当するようなアメリカの指揮者だからと言って、決して彼の棒は軽くはないのです。私は彼の演奏に、実はフルトヴェングラーの流れを汲む、ドイツ・ロマン派の伝統が息づいているのを感じるのです。
そう。私にとって、最高のベートーヴェンはフルトヴェングラーが指揮したもので、例えば復帰直後にベルリンで録音された「第5番」や、例のバイロイトの「第9」になるのですが、如何せん、今となっては録音が古いですね。こうした名盤とは別に、やはり繰り返し通して聴けるような全集物がほしい。それもステレオで、標準的解釈で、しかしベートーベン特有の感動を与えてくれるものが——。
この要求に見事に答えてくれるのがここに挙げたバーンスタインのCD。ウィーン・フィルを指揮してのライヴ録音盤で、レコード・アカデミー賞を受賞したものです。が、人によっては、3番(「英雄」)、5番(「運命」)、9番(「合唱付き」)がイマイチという評価もあったりして、この名曲中の名曲がイマイチでは、と後込みしたこともありましたが、結局この指揮者が好きなこともあって買ったのです。そしたら、何と、「第9」も「第5」も見事な演奏です。何れも、あのフルトヴェングラーに迫るものがあります。
そう、あのベートーヴェン特有の雄渾さとドラマティックな激しさ、感情の激しさと精神性の高さ、それらが見事にそこにはあるのです。それに加えてウィーン・フィルの音の美しいこと! 更に、瞬間瞬間、どの楽器がどのように鳴っているか、まるでスコアを見ているように音像がくっきりとしていて、私のように作曲する者には大変勉強になります。
とにかく素晴らしいベートーヴェン、クラシックにあまり馴染みのない方にもお薦めできる名盤です。
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